自宅で手軽に美しい天体写真を撮影できるスマート望遠鏡を紹介 -3-

astoronomy

デジタル技術の進歩や光学系の進歩で、アマチュアでもハッブル望遠鏡

の撮影画像に迫る天体写真を撮影しております。

しかし、ベテランによるハイアマチュア天文家の領域のようで、なかな

か手が出しにくいイメージです。

そのような中、自宅で、手軽に望遠鏡を設置し、目的の天体を自動導入、

観望や撮影ができるスマート望遠鏡があります。

当ブログで、自宅で太陽観測を行う静岡県のアマチュア天文家Jhosua氏

が、このスマート望遠鏡を入手しました。

関連記事

太陽の撮影に挑むアマチュア天文家にその魅力を聞いて見た! -1-

その使用感の手記と実際の撮影画像を送って頂きましたので、当ブログ

にて紹介します。

今回は、その3回目になります。

Vesperaについての使用感の手記の記事は、まだ少ないのではないでしょうか。

興味のある方はぜひお読みください。

タイトル画像 M42 Vesperaで撮影 撮影者 静岡県 Jhosua氏

にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

Vesperaの使用感及び注意点について

Vespera の使用時に注意したい事について

・操作端末のOSに注意

ベスペラはAndoroid13の端末ではアップデート

できないみたいです。

望遠鏡のアップデートが無ければAndoroid13で操作はできますが、

アップデートが来てしまうとエラーになってアップデートできませ

ん。

アップデートをスキップする事もできないので何もできなくなります。

Andoroid12の端末を別に用意してそちらでアップデートを済ませ

れば、その後はAndoroid13の端末でも使えるようになります。

・写野の変化・渦巻き模様

上画像の馬頭星雲を見てみてください。

なんだか画像の中心を基点とした同心円のスジが入っていると

思いませんか?

ベスペラの架台はいわゆる経緯台式です。

経緯台式の架台に載った望遠鏡で天体をずっと追いかけていると、

画面の中で天体は回転しているように見えます。

スマート望遠鏡は回転した天体をソフト的に元に戻して露出を増や

しているのですが、この時、どうしても回転の跡が残ってしまいま

す。

また、長方形のセンサーで撮った回転した画像を前の画像に重ねる時

に差額が出てしまうので出来上がった画像はどうしても小さくなって

しまいます。

最初の1枚が1920×1080だったのが、長時間露出で1500×800くらい

に周囲が削られてしまうんですね。

画面いっぱいに写った星雲が、露出を重ねていくうちにはみ出てしまう形

になってしまいます。

渦巻き状のスジはともかく、写野については気をつけなければいけません。

また、普通の望遠鏡を使った撮影と違ってカメラの回転ができません。

銀河系を斜めに入れた構図を狙ってもできません。

どうしても狙いたい場合は撮影開始時刻を構図に合わせて決めていくしか

ありません。

・デュアルバンドフィルターについて

Vespera デュアルバンドフィルター
Vespera デュアルバンドフィルター

このフィルターは光害の著しい市街地でも星雲を撮影できる救世主的な

フィルターです。

天の川の中の星雲を撮る時は星が煩すぎたりして星雲が埋もれてしまう

のも防いでくれます。

しかし、良い所ばかりではありません。

このフィルターを付けて撮影するとかなり暗くなります。

その分、露出時間を稼がなければいけません。

普通の光害カットフィルターで30分露出で良いところを、このフィルター

では3時間以上は露出したいところです。

   

        通常の光害フイルター使用 3分露出  M42

 

        デュアルバンドフィルター使用 13分露出 M42 

 

    

       通常の光害フイルター使用 50分露出  IC5146 

 

      デュアルバンドフィルター使用 81分露出 IC5146   

     通常の光害フイルター使用 80分露出  M1 

      

      デュアルバンドフィルター使用 151分露出 M1 

    

画像のオリオン星雲は普通の光害フィルターでは3分露出で良いところを

このフィルターでは13分ほどかかりました。

まゆ星雲では50分露出のところを81分。やはりちょっと露出が惜しいです

よね。

どうせほったらかしで撮影するなら3~4時間かければ良いわけですが、

経緯台の宿命で写野がどんどん狭くなります。

また、色転びも激しくなるので、強調処理、フラット処理がすごく面倒な事

になります。

逆に言うと、写野が狭くなるのを考慮した上でたっぷりと露出してあまり強調

処理をしなくていいくらいの撮り方に徹すればかなりいけます。

M1の画像はデュアルバンドの恩恵で星も目立たず、星雲の模様もカラフルに

浮かび上がりました

ちなみに光害フィルターはサイトロン Quad BP フィルターのOIII側が少し

広まって、Ha側がほぼ同じ、デュアルバンドフィルターはSTC Astro-Duoと

ほぼ同じ特性といったところです。

・天頂付近の撮影

経緯台式の架台で天頂付近を眺めようとすると、大変なのがわかると思います。

これはスマート望遠鏡でも同じです。

撮影天体が天頂付近を通過する場合、画像の歩留まりが結構悪くなったり、

うまく追尾できなくて追尾が停止してしまう事があります。

歩留まりが悪くなるだけなら、天頂付近を通過しさえすれば撮影は続くの

ですが、停止しているのに気付いていないと時間の無駄になってしまいます

・画像の歩留まり

スマート望遠鏡は10秒露出をどんどん重ねていきます。

この撮影した画像が風や振動などでブレたりした画像はちゃんと弾いて綺麗な

画像だけを重ねていきます。

そのため、3時間の露出でも、実際には1時間ちょい分の露出だったりします。

風の有無、天頂付近の天体の通過、雲の通過、色々な理由で歩留まりが増減

します。

南天の低空だと1時間ちょいで1時間分撮れたりします。

それと、冬になると木枯らしが吹くわけですが、これにもちょっと弱いですね。

小型赤道儀+200mmの望遠鏡での撮影でいけそうな風でもベスペラの歩留まりは

すぐに20%くらいになってしまいます。

・夕方の撮影

スマート望遠鏡は自動で初期設定を勝手に済ませてくれます。

ただし、それは星が出ている環境でなければなりません。

夕暮れ時の彗星を撮影したい場合、星が見えないので初期設定が

できずに彗星の撮ができなかったりします。

朝方、星が見えているうちに初期設定を済ませて彗星を撮るしかありません。

・画像処理

スマート望遠鏡のメーカーのホームページを見ると、「ほら、こんなに綺麗に写ルン

です!」と写真を載せていますが、あれはダーク引きからフラット当て、自前でイン

テグレート、ありとあらゆる画像処理の賜物です。

自分は自動生成の画像にちょっと強調処理をしているだけです。

大真面目に画像処理をしてみたい気持ちもありますが、今の所、お手軽撮影、ゆるゆる

処理で「ほら、こんなの撮れたよっ!」ってノリでやってます。

スマホ上で簡単にトーンカーブと彩度強調だけでも結構観れる画像に仕上がるのでゆるく

長く楽しむにはこのくらいの気構えが一番です。

・耐用年数

スマート望遠鏡はオールインワンが良い所ですが、バッテリーが劣化しただけで使えなく

なります。

バッテリーなら外部バッテリーでそのまま使えると思いますが、最新機種にあわせてアプリが

アップデートされて望遠鏡が使えなくなる可能性もあります。

また、ヴァオニス社のサーバーに画像を送ってもいるので、将来、万一ヴァオニス社が無くな

ったらそのままスタンドアローンで使えるのでしょうか。

こういう機器はこんな心配事もあります。

・バッグへの収納

専用のバッグにはクイックリリースの金具をを取り付けたままのベスペラや、クイックリリー

スのベースやレベラーを付けたままの三脚がそのまま収まります。

ポケットもバッグ外側に一つ、フタの内側に二つあり、大きめサイズのポケットなので

フィルター3枚、ACアダプター、ケーブル、懐中電灯、ストーンバッグなどが余裕で入

ります。

外部バッテリーを必要としなければ、このバッグひとつでどこへでも星を撮りに行けます。

外部バッテリーも平たいタイプなら外側のポケットに入ると思います。

         Vespera用専用バック 外観 

        Vesperaバック 収納時 

関連記事

自宅で手軽に美しい天体写真を撮影できるスマート望遠鏡を紹介 -1-

自宅で手軽に美しい天体写真を撮影できるスマート望遠鏡を紹介 -2-

   

「Vespera(ヴェスペラ)は、ここから入手できます

Vesperaに興味があったり、入手したいと思ったらここから

正規代理店の購入サイトにリンクします。

性能と規格の表記しました。

【楽天市場】【代理店直販】「Vespera(ヴェスペラ)」スマート天体観測ステーション スマホ操作のデジタル天体望遠鏡 自動でどこでも天体撮影 国内正規品 バッテリー内臓 フルHD解像度 三脚付き USB給電 経緯台 電視観望 ライブスタック:シュミット 楽天市場店
【代理店直販】「Vespera(ヴェスペラ)」スマート天体観測ステーション スマホ操作のデジタル天体望遠鏡 自動でどこでも天体撮影 国内正規品 バッテリー内臓 フルHD解像度 三脚付き USB給電 経緯台 電視観望 ライブスタック

Veperaの性能と規格の表記しました。

自動導入&追尾


Vesperaは自動導入・追尾技術の搭載により天体を自動的に導入追尾し、

地球の自転による影響を補正します。

お手元のアプリからお目当ての天体を指定するだけ。全自動で行います。

防雨仕様
VesperaはIP43の防雨仕様で、センサーが雨に反応すると自動的に電源

が切れるようになっています。

オートフォーカス
オートフォーカス機能を搭載していますので、手動でピント調節をする

必要はありません。

自動イニシャライズ
Vesperaは、スマートフォンやタブレットに搭載されているGPS機能、独自の

星パターン認識、天体測定によって全自動で初期化を行います。
Vesperaを設置して5分以内に自動的に観望の準備が完了します。

スペースセンター
スペースセンターはあなたが「宇宙への旅」を始めるためのホーム画面です。

このホーム画面ではVesperaの操作を管理しており、

今いる場所に応じた天体の情報を確認することができます。
この画面からVaonisの様々なコンテンツにアクセスできます。

今後さまざまな機能が追加される予定です。

自動初期化
星野の解析とオートフォーカスにより、5分もかからずに「宇宙への旅」

が始められます。

天体カタログ
アプリ内の天体カタログは定期的にアップデートされます。
天体カタログでは、創造の柱、チューリップ星雲、アンドロメダ銀河…他にも多く

の天体をお選びいただけます。

イメージライブスタッキング
数十枚、数百枚、数千枚と、画像がリアルタイムで積み重ねられるにしたがって、

徐々に天体の詳細部分や色彩が鮮明になっていきます。
長い撮影時間をかければかけるほど、見えてくる天体は鮮明になっていきます。

【製品仕様】
口径:50mm
焦点距離:200mm F値:4
レンズ:アポクロマート クアドラプレット(4枚玉)
レンズ仕様:超低分散(S-FPL52) ランタンガンス
画角:1.6×0.9°
架台:経緯台式
イメージセンサー:Sony STARVIS IMX-462
センサー解像度:1920×1080 (2MP)
センサー仕様:低読み出しノイズ (0.5e)
ピクセルサイズ:2.9μm
ADC:12 bits
画像フォーマット:JPEG、TIFF、FITS
焦点調節:オートフォーカス
バッテリー:内蔵
バッテリー動作時間:約8時間 ※気温20℃の条件
マルチユーザーモード:最大5人
太陽観望:可能 (専用フィルターを必ず併用ください。)
質量:約5kg
高さ:40cm
幅:20cm
奥行:9cm

※別売りバックパックは付属しません。
※付属三脚は、別売りの自在三脚と仕様が異なります。

まとめ

自宅で、簡単に設置、設定が可能、手軽に天体観望や撮影ができる

スマート望遠鏡があります。

静岡県のアマチュア天文家Jhosua氏が、Vesperaの使用感と撮影

画像について手記を送ってくれました。

今回は、実際の使用感と使用時の注意点について盛りだくさんの

画像と話題を提供してくれました。

Vesperaについてのこのような詳しい手記はあまりないのでは

ないでしょうか。

これを機会にスマート望遠鏡に興味を持って頂けたらと思います。

手記と画像を提供いただきましたJhosua 氏に誌面にて感謝

します。 

スポンサーサイト

SHO

私のこれまでの仕事や趣味の天文活動で得た専門知識や経験を用いて科学や天文学について、楽しくお話して行こうと思います。よろしくお願いします。

SHOをフォローする
astoronomy
SHOをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました