近年、認知症患者が増加傾向にある。
半面、これまで有効な治療薬や検査法が確立して
いなかったのですが、ここ最近、日本の企業により
開発が進歩しています。
前回は、認知症の原因となるたんぱく質
アミロイドベータに対する治療薬の開発について
紹介しましたが、血液中のアミロイドベータ
が測定できる検査試薬の製造販売と承認の話題
があったのでここに紹介します。
アルツハイマー病について
脳の病気や障害で認知機能が低下して日常生活に支障が出てくる状態
最も患者数が多いのがアルツハイマー病です。
もの忘れから発症して仕事や日常の事で失敗が増える。
進行すると一人で食事ができなくなったり歩行困難になる。
国際アルツハイマー病協会は世界の認知症患者は5千万人で今後
2050年には1億5200万人まで増えると予測されている。
厚生労働省の推計によると国内の認知症患者は20年に600万人、
25年には700万人に達する。
このうちアルツハイマー病が70%を占めるそうです。
アルツハイマー病の発症機序
脳内には情報を伝える神経細胞が多数存在する。
この神経細胞に発症の10-20年以上前よりアミロイドベータという
蛋白質が異常に蓄積し神経細胞に障害を起こす。
病理学組織学的には脳組織に老人斑が形成される。
また、神経細胞の中にタウ蛋白質が蓄積され神経原線維
変化が見られる。
このような神経細胞の変性が進行して神経細胞の死滅、脳組織
の萎縮が生じていく。
参考及び引用文献 週刊YoMoっと静岡 2021年6月27日号
アセチルコリンの低下も要因になる。
大脳皮質に広汎に投射するアセチルコリン(神経伝達物質)の
作動ニューロンの機能低下も知的機能低下に関与している
という。
アミロイドベータの血液検査が可能に
これまで、アミロイドベータの、血液中に存在する量は、微量で
測定が困難でした。
昨年末、日本の医療大手企業からこのアミロイドベータを
測定できる検査試薬の開発及び発売の発表がありました。
シスメックス株式会社が、全自動免疫測定装置 HISCL-5000/HISCL-800
を用いて血液中のアミロイドベータ(Aβ) を測定する検査試薬を開発しました。
血液中の Aβ を測定し、脳内の Aβ の蓄積状態の 把握を補助する検査試薬
について、製造販売承認申請を実施したとの事です。
続いて、臨床検査受託大手のH.U.グループホールディングスは2022年3月
までに、アルツハイマー病の兆候を微量の血液で調べる検査試薬を発売を
発表しました。
国内の病院で広く使われている同社の血液検査装置を使い、脳内に蓄積され、
アルツハイマー病の原因になるとされるたんぱく質「アミロイドベータ」や
「リン酸化タウ」の血液中の量を調べる試薬を発売する。
30分以内に判定できるようです。
24年3月までには従来よりも高感度の検査ができる試薬や装置の発売も目指す
そうです。
たんぱく質の測定原理を変えることで、従来手法に比べて「数十倍の感度が
得られる見込みとの事です。
参考及び引用文献
認知症の兆候、血液検査で発見 シスメックスが23年にも 日本経済新聞
HUグループ、アルツハイマー認知症診断補助薬承認 日本経済新聞
関連記事リンク
血液1滴”からアルツハイマー型認知症のバイオマーカー計測 Beyond Health
認知症の治療薬
これまでの治療薬は脳内の神経伝達物質の量を増やす等症状を和らげる
薬だった。
日本の製薬大手エーザイと米バイオ医薬品大手バイオジェンが共同
開発したアデユカヌマブは脳内のアミロイドベータを減少させて病気の
進行を抑えることが期待される。
病気の根本である異常なたんぱく質に作用する薬は初めてである。
薬の効果を疑問視する声も上がっている。
今後、薬の有効性を確認する検証試験の実施やエーザイは
今回の新薬以外にもアミロイドベータを除去する薬の開発
を進めている。
血液検査で測定できるメリット
これらの試薬が開発されたことで、今後、一般病院で行われる
血液の採血を材料に普段病院検査室で用いられている血液分析
装置を用いてアミロイドベータの蓄積量を測定できる事
になります。
それにより診断や治療その後の経過観察ができる可能性
があります。
まとめ
アルツハイマー病の兆候を血液検査で調べる事ができる
検査試薬が開発及び発表がありました。
今後、一般病院でアルツハイマー病の血液検査が一般的に
行われるようになるかもしれません。
今まで、有効な治療法や検査法がなかったのですが、
今後、この方面に明るい光が見えて来るかも
しれません。
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