静岡県の超新星捜索者の「超新星発見しそこね記」の紹介! SN AT2022ewj独立発見記 -1-  

astoronomy

アマチュアで静岡にて超新星捜索を行っている掛井亘さんが,超新星を独立発見

した顛末を地元の天文同好会誌に投稿記事が、この度天文専門誌「星ナビ」8

月号の「会誌・会報紹介」に載りました!

超新星の捜索や発見の確認、報告方法等についての実践的な取り組みの様子が

興味深い記事です。

掛井さんの了承を受け当ブログでもその発見記をご紹介します。

にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村 PVアクセスランキング にほんブログ村

「超新星発見しそこね記」SN AT2022ewj  

前号の2月27日発行の「ほし」(地元天文同好会誌)に、現在行っている

超新星捜索について書かせて頂きました。

その際に「多分現状で私が見つけることはなさそう」と記載し、正直高を

くくっていた3月20日未明、そのまさかが起こり慌てふためいたものです。

現在ブログをやっておらず、一部掲示板やSNSに投稿したものの事の次第

はほとんど公になっていません。

そんな訳もあり「素人」が実際の発見現場に遭遇

すると、どんな事態になるかを書き残したいと思

います。

新機材導入について

2月はじめのこと。臨時定額給付金の案内があった。

例の18歳以下の子供に配布するという給付金であるが、所得税を払っていない

家庭も対象になっている。

ありがたく頂戴してすぐに散財することにしたが、家内と折半した5万円くらい

で買える機材が対象になる。

前号の「ほし」では当分15cmで捜索活動を行うと書いたが、それでも20cm

クラスの望遠鏡を使いたいという願望があり、また運の悪いことにより決算

時期ということで、少し割安にで販売している製品もある。シュミット(望

遠鏡メーカー)経由のSkywatcherのBKP2000TA(f4)を買うことにした。

  

    Skywatcher BKP2000TA (f4)

これが届いたのが3月8日で早速CMOSカメラを取付け撮像したが、星が

点像に写らずがっかりした。

どうやら光軸が狂っているようであった。

光軸の調整に結構かかったが、なんとか撮影できるよになったのが満月時期

の3月17日頃であった。

満月に当たる18、19日は撮影を見送ったが、1日すぎた20日午前1時20分から

捜索を開始している。

この時はまだ月が南中していることから、少し西に離れた個所から探すことに

し、しし座NGC3329からスタートしている。

普段は4秒露出でスタックするのだが、月明かりの影響ですぐに飽和してしまう

ことから、2秒露出でスタックすることにした。

謎の天体をとらえる 

午前2時10分頃、18コマ目のNGC3367を撮像し始めるとすぐに銀河の2時方向に

明るい光点が見られた。

SkyMapの像と比べるとそこに星像がないのはすぐに分かったが、いつものノイズ

の類と思い、1コマ目を撮り終え少し位置をずらして撮像。

やはり写っている。

どうやら本当に存在しているようである。

バルジの濃い部分だろうと思い、念のためAradinLiteで確認。

どうやらバルジではないようである。

「過去画像!」今年に入って1月27日、2月25日に撮像している。

いずれの画像にもこの天体は存在しない。

少し焦ってきた。

ここで参考にしたのがビショップさんのHP「latestsupernova」。

17等級以上の明るさの超新星一覧にこの16等級の謎天体の記載はない。

焦る気持ちが加速してきた。

小惑星のチェックをしようとskysafariを立ち上げ、NGC3367を表示した

が近くに小惑星の記載がない。

果たして信用しても良いものか。

ちょうどそのころ、ある方が小惑星をPSNと間違えて報告し、すぐに訂正

されてPSNの存在を否定されることがあったが、その方はMPチェッカーまで

調べていなかったとのことで、やはりMPチェッカーで精査しなければならな

い。

おまけに謎天体の位置も割り出していない。

「ほし」に記載した通り、高をくくっていた弊害がこんなところにも発動した。

仕方なくAradinLiteを開きNGC3367を拡大し、入念に該当位置にカーソルを

当て表示した位置を読み取り、RA:10h46m34.56, Dec:+13°45’ 15 と、

概算位置を出した

ところが素人の悲しさ。

MPチェッカーは板垣さんに教えてもらって以来、何度も入力を間違えて

うまく扱えない状況であった。

しかしいざというときは必死に頭を巡らせるものである。

何度もトライしているうちにようやくコツを掴み、表示することができた。

(現在は普通に使えます。)

ここでも銀河周辺に明るい小惑星は存在しないとのこと。

もうこの時点で頭を抱えてパニック状態である。

残るは変光星とビショップさんがまだアップしていない超新星。

しかしどこで調べれば良いやら。

ここで頭に思い浮かんだのが、facebookの天体写真グループの代表の

野原さん。

以前友人が同グループの申請の事で野原さんと仲介していたから、

何とか事の次第を伝える事ができる。

藁をもすがる思いでホスト天体の表記は避け変光星と既発見のSNのチェック

できないのでどうしたら良いかとMessenngerに書き込んだ。

午前3時近く。なかなか読みあがる形跡がない。

どうしよう。

時間は過ぎるばかり。

次回へ続きます。

   SN2022ewj 2022年3月20日午前2時20分(日本時間) 2*60 20cmF4L  ZWO174MM

掛井亘氏撮影 

関連記事リンク

板垣さん、しし座の銀河に超新星発見、今年2個目 アストロアーツ

板垣公一さんの発見した超新星が明るい!(SN2022hrs)静岡県の超新星捜索者の観測を紹介 

まとめ

今回は静岡県の超新星捜索者の掛井氏の超新星独立発見の手記

が、「星ナビ」8月号に紹介されました。

その手記を当ブログでも紹介しました。

新天体を実際に発見した時の高揚や臨場感が伝わる文面です。

次回はこの天体発見劇の続きを紹介します。

スポンサーサイト

私の今までの仕事や趣味の天文活動で得た専門知識や経験を用いて科学や天文学について、楽しくお話して行きます。アマチュア天文家 

SHOをフォローする
astoronomy
スポンサーリンク
SHOをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました