2025年10月9日、小惑星ファエトン((3200)
Phaethon)による12等級星の恒星食(掩蔽現
象)が北米で発生し、現地では複数の観測者に
よる観測キャンペーンが展開されました。
浜松スペースハンタークラブの和久田俊一氏が
この恒星食の予報と観測結果を自作ソフトEpy
Skyで検証しました。
ファエトンは、今後JAXAでも、フライバイを
計画している注目の天体になります。
タイトル画像
タイトル画像の小惑星はファエトンではありま
せん。
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ファエトンの北米での恒星食について
恒星食は、ファエトンが恒星の前を横切り、数分
の1秒だけ恒星が隠れるという珍しい天文現象です。
今回の軌道はベンガル湾からユーラシア、北大西洋
を経由して北米東部を南下し、中米・太平洋沖へ抜
けていくものでした。
北米では恒星の高度約40度、観測条件は満月直後で
月明かりがあり、またファエトンの影が地表を秒速
16.3kmという高速で駆け抜ける、非常にシビアな
観測になりました。
和久田氏による10月9日の恒星食の予報
浜松スペースハンタークラブの会員の和久田
俊一氏が北米で起こる10月9日のファエトンの
恒星食をEpySkyを用いて予報をしておりました。
以下が氏の手記と予報図になります。
JPL がほぼ一日置きに暦を改訂するなど、欧米で
話題になっているファエトンによる12等星の食
です。
小惑星の影はベンガル湾で地表に接し、インド、
カスピ海、ウクライナ北部、ベラルーシ、カリー
ニングラード、デンマークを通ります。
その後は北大西洋を横断し、北米東部を南下して
メキシコ沖の太平洋で地球から離れて行きます。
今回は影の速度が16.3km/s と高速で、掩蔽時間は
長くても 0.3秒ほどの厳しい条件です。
恒星は12.2等と比較的明るいですが、満月を過ぎ
たばかりの月が近くにあり、北米では小惑星の高度
も約40°と低く、観測はかなり厳しいものになると
思われますが、多くの観測者が参加するようです。
好天に恵まれ、良い結果が得られますよう。。


恒星食の観測の成果について
事前予報やJPL(アメリカ・ジェット推進研究所)などの
最新データをもとに掩蔽帯が詳細に計算され、多くの現地
観測者によって狙い撃ちの布陣が敷かれました。
掩蔽時間は最大0.3秒程度と、機材とタイミングの精度が鍵
となる非常に短い現象でしたが、複数の観測家が減光現象の
撮影に成功したという報告が上っています。
実際の観測例として、事前予報通り掩蔽帯中心付近で減光が
記録され、観測者ネットワークによるデータの突合・解析が
進められています。
和久田氏による観測結果の検証について
和久田sです
10月に入ってからほぼ毎日暦を改訂してきた JPL ですが、
10月7日に JPL#934 が発行されてから改訂が止まりました。
この小惑星に対するNASA の関心の高さがよく分かります。
さて、北米での観測結果の情報が次第に集まってきました。
現在、10地点での観測が報告され、4地点で減光が観測されて
います。
今回は EphSky のプログラムに改良を加えた効果もあり
IOTAの予報とEphSky の推算は 100m以内で一致するよう
になりました。
前々から議論されていたように、今回も掩蔽帯は、少し南に
シフトしていることはほぼ確かなようです。(私の試算では
500~1,000m)
ファエトンに関する最新情報:
これにはいくつかのスコープがあり、雲にもかかわらず、これが
捕獲されたと言うのに十分な十分なデータが得られました。予備
的、つまり予備的ですが、他の最近の観測で示唆されているよう
に、見解は予測から南に移動していることを示しています。
このシフトは、以前に書いた重心と形状中心のずれでは説明
できそうにありません(せいぜい200m以内)
何か未知の要因があるのでしょうか?(DART ミッッション
の Didymos のように、見えない衛星があるのでしょうか?そ
れならアレシボのレーダー観測でとっくに見つかっているはず)
北米での掩蔽帯地図と観測者の布陣状況を添付しました。
その中で、ミシシッピ州で観測した Jean-Francois Gout さん
の観測結果と EphSky の状況図も添付してあります。

北米での掩蔽帯地図と観測者の布陣状況

ミシシッピ州で観測した Jean-Francois Gout さんの観測位置

Epyskyの予報図と実際の観測を比較すると
南にシフトしている
今回の掩蔽観測の意義について
今回得られた減光の正確なタイミング情報は、ファエトン
の直径・形状測定や軌道補正につながる重要なデータと
なります。
特に2025年度に打ち上げが予定されているJAXA「DE
STINY+」探査機のフライバイ計画にとって、基礎デー
タとなることが期待されます。
12等級という比較的明るい星がターゲットかつ、多地点の
同時観測成功により、「歴史的快挙」と呼べる記録が増え
つつあります。
まとめ
2025年10月9日、小惑星ファエトン((3200)
Phaethon)による12等級星の恒星食(掩蔽現
象)が北米で発生し、現地では複数の観測者に
よる観測キャンペーンが展開されました。
浜松スペースハンタークラブの和久田俊一氏が
この恒星食の予報と観測結果を自作ソフトEpy
Skyで検証しました。
難しい観測条件の中で、観測は成功し、観測結果
を和久田氏が考察したところ、ファエトンの未知の
形状が示唆されるとの事でした。
今回、貴重な軌道計算予報や解析結果の投稿許可を
頂きました和久田氏に誌面にて感謝いたします。

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