静岡県の超新星捜索者の「超新星発見しそこね記」の紹介!SN AT2022ewj独立発見記 -3- 

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アマチュアで静岡にて超新星捜索を行っている掛井亘さんが超新星を

独立発見した顛末を地元の天文同好会誌に投稿記事が、この度天文専

門誌「星ナビ」8月号の「会誌・会報紹介」に載りました。

今回はその最終回で独立発見時の反省点とその後についてです。

超新星捜索を行う上での重要なポイントになるところだと思います。

タイトル画像 SN2022hrs 2022年4月22日撮影 撮影者 掛井亘氏 

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今回の発見についての反省点

超新星発見に当たっての反省点は多々ある。

怪しい星像を見つけた時の確認方法の見直し

自分なりに確認作業は、ノイズの類(位置をずらしての再撮像)、比較用の

他の資料画像の確認、過去画像の確認までは行ってきたが、小惑星のチェッ

クは、skysafariで十分だと楽観していたものの、いざその時になると疑心暗鬼

にかられる。

今まで小惑星が重なることはなかったが、TNSでも内外の小惑星見間違いの案件

がかなり見られるため、日ごろからMPチェッカーに慣れる必要がある。

またTNSに報告のあったPSN天体の検索もこの時が初めてであったため、現在は

日常的に検索ページを眺め、気になる明るさのSNを撮像できる場合は撮像を心掛

けている。

報告のシュミレーション

やはり報告になるとそれなりに覚悟を決めてかかる訳だから、おいそれとは報告

できないため実際に報告を想定したシュミレーションは必要である。

報告のフォーマットですら、じっくり見たのはこのとき初めてのようなものだった。

観測日時の確認

青年期から観測時のデータには気を付けていて、特に日時については最重要だという

事は認識していたが、今回はこの観測を公表する際肝心の日を間違えていた。

世界時で19日の出来事であるが日本時間では20日午前2時である。19日と掲示板等に

誤記した際「今朝」と書いていたため読んだ方がすぐに気がついてくださったが、超

初歩的ミスである。

反省。

このことがあって以来、観測の際は何度もカレンダーを見直すことにした。

相談できる観測者を作る

夜間こういった事態に遭遇した際、相談できる観測者がいれば心強い。

今回連絡を入れたのは天体写真観測Gの代表の野原さんであったが、超新星について

は専門外との事でご迷惑をおかけした。

何よりも計測、測光システムを導入する

本当はこれが一番大切なのであるがなかなか実行に移せないでいる。

本当にダメな観測者である。

その他反省点はあるが、要は落ち着くことが一番である

後日談について

3月24日、天体写真観測Gのオンラインミーテングがあり、日ごろ画像処理などで

お世話になっている藤枝の大野氏とともに参加させて頂いた。

参加者はG代表の野原さん、徳岡さん(SN2021afsj発見者)、野口さんと私と

いう少人数であるが、お互いの捜索活動が披露され刺激的な時間であった。

会議中、野口さんからどんな夜中でも怪しい天体があったら電話してきて構わ

ないとのお話があり、翌日早速連絡できる環境にした。

とにかく何か大きく観測環境が動き出していると感じる今日この頃である。

その後、世界時間で4月12日15時頃、NGC4697中心核近くに16等級のPNSを

見つけ深夜でありましたが野口さんに電話連絡し、多少悩みましたがTNSに報告。

AT2022hkgと名前が付いたもの、野口さんのご協力もありすぐに既知の星の

見間違いと気が付き「sorry」とコメント。

AT2022hkgはわずか20分の命ということがありました。

新天体発見は本当にいつ起こるかわからず気が抜けませんが、

そこがまた面白いと感じます。

山形県の板垣公一さんは、4月16日14時51分(UT)23時51分(JST)に

おとめ座銀河NGC4647に15等級の超新星を発見しました。(SN2022hrs)

発見後、イタリアで行われた分光観測でⅠa型超新星と確認されました。

 

発見時15等級だったこの超新星は、予想通りゆっくり明るさを増して行き、

5月1日には12.5等台の明るさになりました。

発見当時は、東海方面が天気が思わしくなく、掛井さんが撮影できたのは20日との

事でした。

  

   SN2022hrs 2022年4月22日撮影 撮影者 掛井亘氏 

   添付画像は22日のもので、13等級前半です。眼視でも見えそうです。

   4月22日13時21分(世界時)4s*10(40秒) 20cmL F4 174MM

関連記事リンク

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明るい超新星2022hrsが見ごろ

まとめ

静岡県の超新星捜索者掛井さん「超新星発見しそこね記」を3回に分けて紹介

しました。

超新星捜索のおもしろさやむつかしさがよくわかります。

新天体を見つけた時のスリルと高揚感を一度体験するとその魅力に取りつかれて

しまいます。

この記事を読んで新天体捜索に興味を持って頂けたらうれしいです。

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私のこれまでの仕事や趣味の天文活動で得た専門知識や経験を用いて科学や天文学について、楽しくお話して行こうと思います。よろしくお願いします。

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