静岡県の西村栄男さんは、新天体捜索を主に活動するアマチュア
天文家です。
西村さんは数々の新星を発見し、21年、23年に新彗星、昨年12月
に超新星を発見して新天体発見3冠を達成しました。
今回は、昨年12月の超新星発見のご本人による手記を紹介して
おります。
今回は、その後半を紹介します。
新天体を発見するまでの経緯を文章から体感して見てください。
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超新星「SN2023zvq」との出会い
過去画像を調べると4日前に微かに14等星で写っており、21等より
暗い星が増光して「また矮新星ではないか」判断し一瞬報告すべき
か迷った。
しかし。「TOVCP」に掲載するかは国立天文台が判断いただけるだろう
と発見報告を10時11分に送信した。
すると、11時12分に国立天文台の遠藤さんから「既知の変光星と小惑星
に該当する天体は見当たらないため、TOCPに書き込みしました。」と
メールが入った。
翌9日朝は私の掃天画像に昨朝とほぼ同光度で写ってくれた。
TOCPには変光星観測者の清田さんが28センチでB=14.28、V=14.07、
Rc=14.13と観測値が掲載された。
それを見られた超新星観測者から「西村さんにはショックで申し訳ないが、
超新星より矮新星に近いと思う」との連絡が、国立天文台からも「疑問天
体の背後に星が見当たらないので増高幅が大きな矮新星かも」とのメール
は入った。
超新星の期待が砕かれ「8月の新彗星との出会いで運を使い果たしたので諦め
るか」と自分にいい聞かせていた数日後、AAVSOのVSXを見ると疑問天体に
「SN」超新星が記載されていた。
SNの次「:」は、“確定的ではない”との記号であるが、明るい光が差し込んで
来たように感じた。
いつもお世話になっている国立天文台の前原さんからは「土曜日の夜(9日)に
“せいめい望遠鏡”で分光を予定していたが曇ってしまった。」との連絡が、ある
方からは「低空だと分光をしてくれない場合もある」と又も心配される連絡が
入った。
「どこかで分光を!」と祈りながら迎えた14日、多くの皆様より世界時で12日
にZTFが同一天体を発見しPalomaerの1.5mで分光されⅠa型超新星であること
が確認されたと連絡が入った。
国立天文台からは私の発見が早いからTNSに投稿したとのれしい連絡が入った。
これで張り詰めていた緊張感が安堵感に変わると同時に彗星と違う区切りの寂しさ
があったが、私の気持ちの中に一つの光が輝いていた。
それは口径67mmのレンズで約1.3億年前の無名の銀河で起こった超新星爆発を
人類で最初に見つけたことだ。
以前、天文学会等に出席の折に新天体発見の三冠のことで「最も難しい彗星を発見
しているから挑戦したら」との言葉を頂いたが、「超新星は大口径の望遠鏡でなけ
れば無理だ」と思っていたし、3冠にも興味がなかった。
大自然では時に考えもつかない事をしてくれる・・・それが正だあったり、負で
あったり・・・
今回も偶然続きの出会いに感謝すると同時に、お力を頂いた皆様に幸運が訪れる
ことをお祈りするこの頃です。
超新星撮影画像及び関連記事
SN2023zvq 2023年12月24日 撮影者 田代貞氏
■撮影者コメント
メリークリスマス!。今年もあとわずかとなりました。
年の終わり、締めの記念にと西村超新星を撮ってみました。
MT250F6の直焦点画像の中央を拡大しています。
超新星青いですね。かなり青いです。
多少色彩強調しています。
右上の星(mag=15.4)と同じくらいの光度でしょうか。
■撮影条件
2023.12.24.05h09m~ 2分×3枚コンポ
MT250F6 MPCC LPSD3 EOS6D(HKIR) IS4000
GN26ノータッチ dark,flat,flatdark、SI9+PS2024
SN2023zvq 2023年12月22日 撮影者 小和田稔貞氏
■撮影条件
2023.12.22 05h30m μ250+コレクター(fl=2328mm)
EOS6DMk2 ISO6400 露出30s
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静岡県の西村栄男氏が、超新星を発見 -彗星、新星、超新星発見の三冠を達成!-
西村栄男さんが読売新聞記事で紹介されておりました
まとめ
静岡県の西村栄男さんが、昨年、新彗星・新星・超新星発見3冠を
達成しました。
西村さんによる超新星発見の手記が届きましたので紹介しました。
新天体発見のリアルな臨場感を体感頂けましたでしょうか。
当ブログへの掲載を許可して頂きました西村氏に感謝します。
超新星の画像を撮影した浜松スペースハンタークラブの
皆様にも感謝します。
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