3月より劇場公開されております『プロジェクト・
ヘイル・メアリー』
実在する天体で起こるリアルSF映画で、天文ファン
必見の作品になります。
アンディ・ウィアーの同名小説を原作に、ライアン・
ゴズリング主演で描かれる人類存亡の宇宙ドラマです。
当ブログでおなじみの美しい太陽画像やVesperaに
よる天体写真を撮影を行う静岡県のJhosua氏は、
長年、SF小説を読み続けており、造詣が深く、
今回、今、大ヒット上映中の「プロジェクト・
ヘイル・メアリー」に登場する実在の惑星について
の手記を送ってくれました。
今回はその続編になります。
前回の手記から更に深掘りした内容になって
おります。
注)今回の手記は、紹介映画のストーリーのネタバレが
あります。
映画鑑賞前で、ストーリーの顛末を知りたくない方は、
ぜひ、こちらのブログは、映画の鑑賞後にお読み下さい。
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映画のストーリー概要
Jhosua氏の手記を紹介する前に「プロジェクト・
ヘイル・メアリー」の作品の概要をお話します。
太陽のエネルギーが謎の微生物「アストロファージ」により
奪われ、地球が氷河期に陥る危機に直面します。
中学科学教師のライランド・グレース(ライアン・ゴズリング)
が、片道切符の宇宙船ヘイル・メアリー号で原因究明へ旅立ち、
12光年先のくじら座タウ星(Tau Ceti)を調査します。
そこで異星人ロッキーと出会い、科学を武器に協力して危
機解決に挑む姿が描かれます。
■この映画の魅力
ハードSFらしい科学描写が最大の魅力で、NASA監修のもと軌道
力学や人工重力、微生物実験がリアルに再現されています。
ゴズリングのユーモラスな演技と異星人との友情が感動を呼び、
劇場の映像、音響効果により宇宙のスケール感が圧倒的です。
天文学ファンには、恒星や宇宙、探査機のリアルな映像描写が
楽しめます。
■登場星と実在天体の関連
くじら座タウ星 (Tau Ceti): 地球から約12光年離れた太陽似の恒星
で、映画ではアストロファージ耐性の鍵となります。
実際はSETI*の標的として有名で、系外惑星候補(Tau Ceti e、
「Adrian」と命名)が存在(最近の観測で議論中)。
*SETI(セティ、Search for Extra-Terrestrial Intelligence)とは、
電波望遠鏡や光検出器を用いて、地球外の文明が発する人工的な信号を
探索する「地球外知的生命体探査」プロジェクトの総称です
エリダニ40 (40 Eridani): 異星人ロッキーの故郷星系(16光年先の三連
星系)。
実在の恒星で、ヴァルカン(スタートレック)のモデルとしても知られ、
惑星Erid(40 Eridani A b)が高温高圧環境として描かれます。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アストロファージの感染経路について
ここより、Jhosua氏の手記を紹介していきます。

前回、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に出てきた、
主要な星々は何処にあるのかを書いてみました。
そこでですね、せっかくだから、もう少し詳しく書いて
みようと思います。
アストロファージの感染経路
アストロファージは何処で生まれ、どういった経路で
感染していったのでしょうか。
一枚の星図にまとめてみました。

Astrophageの感染経路 ステラナビゲーターで表示
タウ・セチで生まれたアストロファージはエリダヌス座
イプシロン星に感染します。
そこから、ロッキーの故郷であるエリダヌス座40番星A
に、同じくイプシロン星からおおいぬ座のシリウスに感染
します。
WISE 0855-0714に感染し、そこからRoss 128、Wolf
359、Lalande 21185、そして我らが太陽へと感染して
いきます。
星図上の水色の線は地球を指しています。
夜空の中でひと際明るいシリウスも感染し暗くなりました。
これは天文屋でもびっくりしたでしょう。
ちなみにWolf359ですが、『スタートレック』でボーグ
との大規模戦闘が起きた場所としても有名です。
現実の天文学でも太陽系近傍の恒星で、SFと科学が偶然重
なる面白いポイントですね。
さて、タウ・セチで生まれたアストロファージですが、タウ
・セチの環境は生命が誕生できるような所ではありません。
では、アストロファージは何故ここで生まれたのでしょうか。
しかもアストロファージはタウ・セチでは作中の通り死滅して
しまいます。
アストロファージは生命ではない
タウ・セチで生まれたアストロファージですが、タウ・セチの
環境は生命が誕生できるような場所ではありません。
では、アストロファージはなぜここで生まれたのでしょうか。
しかも作中の通り、アストロファージはタウ・セチでは長く
生存できません。
アストロファージは DNAもRNAも持たず、細胞構造もない、
生命とは言えない存在です。
みなさんも「プリオン」という言葉を聞いたことがあると思い
ます。
狂牛病(BSE)やクロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こす、
あのタンパク質の塊です。
プリオンも生命ではありませんが、自己増殖ができます。
アストロファージも、このプリオンのような“生命ではない自己
複製物質”だったのではないでしょうか。
なぜ生命が生まれないタウ・セチで誕生したのか
タウ・セチには以下の特徴があります。
・金属が少ない
・放射線が強い
・CO2が豊富
・磁場構造が複雑
これは通常の生命誕生には程遠い環境です。
しかし、この特殊な環境こそが アストロファージを
偶然生んだと考えられます。
アストロファージは誕生しても、タウ・セチの強烈な
放射線環境では長く生存できません。
しかし、誕生直後の ごく短い時間だけ自己複製が可能で、
その複製体の一部が 磁場に沿ってタウ・セチの外へ逃げ
出したと考えられます。
なぜ感染を続けるのか
鉄の手すりにできたサビを想像してみてください。
サビは生命ではありませんが、一度発生すると周囲の
鉄を取り込みながら広がっていきます。
「生きよう」としているわけではなく、化学反応が連鎖
しているだけです。
アストロファージも同じで、生命ではないのに“増える”し
“広がる”。
それは意思ではなく、自己複製という化学反応が続いて
いるだけなのです。
なぜタウメーバはアストロファージを“食べる”のか
タウメーバも生命ではありませんが、アストロファージの
持つ高エネルギー構造を分解し、化学的に利用できる仕組
みを持っています。
鉄のサビを落とす薬剤を思い浮かべてください。薬剤はサビ
を“食べている”のではなく、化学反応で分解しているだけで
す。
タウメーバも同じで、アストロファージを捕食しているのでは
なく、分解してエネルギーを取り出している のです。
その結果、タウメーバはアストロファージの増殖を抑える存在
として機能します。
ロッキーの故郷・エリド星の環境
※ここでは“生命誕生の深い話”は置いておき、作中情報から
雰囲気だけをまとめます。
・表面温度:210℃
・大気:アンモニア主体
・岩石と豊富な金属の惑星
・強い磁場
・気圧:地球の29倍
・重力:地球の約2倍
アンモニアが充填された圧力窯に入って210℃にされたら、
人間はひとたまりもありません。しかしエリド星では、こ
れが日常の大気であり、気圧であり、気温なのです。
※注意
この記事は作中の情報をもとにした私個人のSF的考察
です。
公式設定とは異なる可能性がありますし、科学的にも
穴があるかもしれません。
「こういう見方もあるんだな」程度に受け取っていただけ
れば幸いです。
こんなところでしょうか。
これ以上はこのブログのカテゴリーから大幅にずれる
ので言及いたしません。
それでも、映画を理解する手助けになったでしょうか。
「余計に混乱した」ですって?それもSFの楽しみ方の
ひとつとでも思ってくださいな。

関連記事リンク
の星々の魅力を静岡県のアマチュア天文家が解説!
-リアルSF映画をより楽しむために-
まとめ
3月より劇場公開されております『プロジェクト・
ヘイル・メアリー』
実在する天体で起こるリアルSF映画で、天文ファン
必見の作品になります。
当ブログでおなじみの美しい太陽画像やVesperaに
よる天体写真を撮影を行う静岡県のJhosua氏は、
長年、SF小説を読み続けており、造詣が深く、
今回、今、大ヒット上映中の「プロジェクト・
ヘイル・メアリー」に登場する実在の惑星について
の手記を送ってくれました。
その手記を紹介しました。
今回は、その続編になります。
映画のストーリーの根幹を深掘りする
手記でした。
ブログ筆者も学生の頃は、早川文庫などの
SF小説をよく読んでしましたが、この
SFは、現在までの新しい科学的知見や研究
事例を盛り込んでおります。
長年、SF小説を読み続けているJhosua氏
だからこそ書ける文章かと思います。
手記を送ってくれました静岡県のJhosua
氏にお礼と伴に、今後もこういった分野の
手記を書いてくれることを期待します。

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