静岡県の超新星捜索者の「超新星発見しそこね記」の紹介! SN AT2022ewj独立発見記 -2- 

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アマチュアで静岡にて超新星捜索を行っている掛井亘さんが

超新星を独立発見した顛末を地元の天文同好会誌に投稿記事

が、この度天文専門誌「星ナビ」8月号の「会誌・会報紹介」

に載りました。

超新星の捜索や発見の確認、報告方法等についての実践的な

取り組みの様子がよくわかる興味深い記事です。

今回はその2回目です。

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「超新星発見しそこね記」SN AT2022ewj  

系外銀河近傍に怪しい天体を捕らえ天文関係者に問い合わせするが

返答がこない。

ここに至り野口敏秀さんの超新星を発見した場合のガイドを思い出

した。

デスクトップに貼り付けたガイドを開き、まず今現在報告のあった

超新星および候補天体をどこで検索するか調べた。

すでにTNS(TNS: TRANSIENT NAME SERVER 超新星研究者の

グループ(SN-working group: 略称[SN-WG]) から提案されてい

た超新星の発見・命名方法に関する新しい自動システム)に登録して

あるから既にログインしている状態であるためパスワードは関係ない

ことに気が付き(パスワードを思い出せず悩むことがしばしば)すぐ

に検索のページを開く。

最初のフォーマットを見ているうちに、ふと下方にスクロールすると

このような一覧表が。

   *会誌の原本をスキャナで読み込んだため文字が不鮮明です。TNSの画面のイメージのみお伝えします。  

一覧表の2番目に2022ewj NGC3367 16.3m 発見者板垣の文字が。

「ああ!既に板垣さんが発見していて報告済みだった。

良かった!本物だったんだ。」

妙な安堵感に包まれ全身の力が抜けたのを覚えている。

この時、この表を見るのが初めてで、発見日時などを下のATLASの報告のもの

と見間違え、発見光度が17等で自分の観測の1日前に発見されたものと勘違い

していた。

板垣さんの発見時間が自分の発見した20日午前2時13分のわずか4時間前だと

分かっていたら、もっと慌てていただろう。

何はともあれ第一発見者しか認められない超新星であるから発見者が公になっ

ているため私の発見騒動はここで終了し、報告でまた頭を悩ませなくて済み大

いに助かったのはいうまでもない。

その後、野原さんには詳細をMessengerで送信し、また板垣さんご自身にも

不躾ながら自分の発見画像と午前2時13分に板垣さんの発見を知らずにこの天

体を発見したことをメール。

また日頃お世話になっている会員の西村さんにもメールした。

外が明るくなってきた。

いつも閲覧している掲示板やfacebookの天体写真G.やHSHC のMLにこの騒動

を書き込んだが、今現在20日(日本時間)であるのに19日に観測したように

書いてしまいすぐに野口さんから指摘があった。

この時初めて自分の発見時間が板垣さんのそれよりも4時間後であることを知り、

また頭を抱えることに。当然書き込みには訂正を追加した。

ちょうど私が発見して頭を抱えていた時間帯の午前3時頃。

京大のせいめい望遠鏡が超新星の分光観測を行っており、

20日の午前中にTypeⅡ SN2022ewjとして正式に超新星

となり、この騒動の終わりを向かえた。

板垣さん、西村さん、そして会員の杉浦さんからもメールを頂き以前だったら

独立発見、特に杉浦さんから「立派な独立発見」というもったいないお言葉を

頂いた。

報告をしていないから独立発見に値しないが、最初にMessengerで助けを求めた

野原さんから、迷ったらとりあえず報告して間違えたら「Sorry」で寄りと思い

ますよ、と返信を頂き、今後はその選択枝もあるだろうと思った。

    SN2022ewj in NGC3367

    2022年3月20日午前2時20分(日本時間) 2*60 20cmF4L  ZWO174MM

    掛井亘氏撮影

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まとめ

静岡県の掛井さんの超新星独立発見の手記の後編を

紹介しました。

前回と合わせてこの記事を読んで実際の新天体発見に

遭遇した時の高揚感とスリルが文面より伝わりました

らうれしく思います。

当ブログへの掲載許可を頂いた掛井氏に御礼申し上げます。

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私のこれまでの仕事や趣味の天文活動で得た専門知識や経験を用いて科学や天文学について、楽しくお話して行こうと思います。よろしくお願いします。

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