2021年の天文現象を振り返る! 反復新星へびつかい座RSが肉眼等級に再増光した。

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2021年も残り数日になりました。

この機会に2021年の天文現象を振り返りたいと

思います。

前回は2021年前半についてお話しました。

今回は1つのテーマをダイジェストで振り返ります。

反復新星として有名やへびつかい座RS星が8月10日に肉眼で

見える4等級に増光し関係者の間で話題になりました。

明るさを変える星を変光星と呼びます。

この星のように普段は暗く見えない星が突然肉眼で見える程

明るくなる星を激変星といい新星ともいいます。

なぜこのような現象が起こるのでしょうか。

へびつかい座RS(RS Oph)の増光現象について

へびつかい座RS(RS Oph)は、反復新星(回帰新星)と呼ばれ将来

超新星爆発を起こす候補天体である。

大質量の白色矮星と赤色巨星の連星系より成り、赤色巨星から白色矮星

への水素降着により星の表面上に水素核融合暴走を起こして増光を起こします。

1898年、1907年、1933年、1945年、1958年、1967年、1985年、2006年

の8回の増光が観測されている天体です。

今回の新星爆発では、ベルギーのE. MuyllaertさんやアイルランドのK. Geary

さん、ブラジルのA. Amorimさんらによって、日本時間8月9日朝の8月8.91-

8.93日(世界時; 以下同様)にへびつかい座RSが5等級に明るくなったが発見され

ました。

さらに、その後の観測から9.124日には4.8等ほどまで明るくなったようです。

この他、フェルミ ガンマ線宇宙望遠鏡の観測によると、この天体が新星爆発に

ともなってガンマ線でも明るなったことも報告されました。今後の明るさの変化

などが注目されています。

へびつかい座RSの増光の様子

静岡県のK氏の観測によりますとこの天体は8月6日には10.7等でしたが、8月

10日には4.2等に増光していました。

K氏の撮影画像を下記に掲示しました。

画像からも急激に増光している事がわかります。

白色矮星は、小型で大変高密度な天体です。

太陽でいえば、高温度の中心核のみが残った状態になった星です。

この天体は、強力な重力を持ち、その力で、連星になっている赤色巨星から水素

ガスを引き寄せ、圧縮され高密度の水素ガス雲が白色矮星の表面を取り囲みます。

そして白色矮星表面で水素核融合反応が起こります。

太陽内部で起こる安定した核融合反応と異なり、白色矮星の表面で起こる核融合

反応は暴走を起こし、これにより表面物質は急激に外側に広がり、そこで生まれた

異常なエネルギーにより非常に明るく光るようです。

増光した星の光が赤味を帯びているのも前述の水素核融合の熱暴走による水素の

スペクトルの影響かもしれません。

8/6 10.7等 

8/10 4.2等

K氏によりますと8月12日には5等級になっているようです。

へびつかい座RS(RS Oph)とは 

へびつかい座RSは1901年にW. P. Fleming(HDカタログの編纂などの業績でも有名な天文

学者)によって、当時米・ハーバード大学天文台で行われていた写真による変光星サーベイ

から、1898年6月に増光を起こした変光星として発見されました。

この天体はその後も1933年、1958年、1967年、1985年、2006年にも新星爆発を起こし

たことが知られております。

普段は11等前後の明るさですが新星爆発を起こすと4等級まで明るくなります。

これまでの研究から、この天体は太陽の1.35倍程度の質量の白色矮星と赤色巨星からなる、

公転周期453.6日の連星系であることがわかっており、共生星としても知られています

反復新星の特徴について 

新星は、白色矮星と低温度の主系列星ないし赤色巨星から成る連星系で、低温度星から

白色矮星へ水素が流れ込み、白色矮星の表面に降り積もった水素がある臨界量を超える

と爆発的な核燃焼を起こし、非常に明るくなる現象であると考えられています。

新星爆発では白色矮星の表面に積もった水素だけが飛び散るので、爆発後も白色矮星と

低温度星は健在です。

そのため、一度新星爆発を起こした後、しばらくすると白色矮星の表面には低温度星から

流れ込んだ水素が降り積もり、爆発を起こすのに十分な量になれば再び新星爆発を起こす

と考えられています。

典型的な新星の場合、一度爆発してから再び爆発するまでには数千年から十万年程度の時間

がかかるとされており、普通の新星では人間の一生の間程度の時間では、同じ星が複数回の

新星爆発を起こすのを見ることはできません。

ところが、新星の中にはごく少数ですが、新星爆発を1年から数十年程度の間隔で繰り返す

天体も見つかっており、これらは「反復新星」と呼ばれています。

まとめ

2021年の天文現象について振り返りました。

反復新星として有名やへびつかい座RS星が8月10日に肉眼で見える4等級に増光

しました。

まったく星の見えない場所に突然、明るい星が見えたら驚きますよね。

そのような現象が実際の夜空では起こっております。

この記事を読んで変光星に興味を持って頂けたらうれしいです。

2022年も新彗星の発見や彗星のバースト現象の他にこのような変光星

関係の誰でも観測可能な突発な増光についても紹介したいと思います。

次回は、2021年の天文現象を振り返る9月~12月について紹介

します。

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